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英語教育別冊 英語教師が鍛えるべき英語力と,その鍛え方とは

 

 2014年10月増刊号の『英語教育』を読みました。

 実際に『英語教育』に寄稿されている先生方が,「現在備わっていると思われる力」と「課題と思われる力」を挙げ,その中で課題と思われる力の上位項目に関してどのように力をつけていくべきかが示されています(表紙にその項目が書いてあり,上位順に並べられています)。また,小・中・高・大と校種ごとに分類されています。

 質問項目の一覧

1. 文法知識

2. 語彙力

3. 発音に関する能力

4. 音読に関する能力

5. パラフレーズできる力

6. サマリーできる力

7. ライティング力

8. スモール・トーク

9. 英語での質問力(生徒の回答を引き出す補助など)

10. 即興でやりとりできる英語力(オーラルインタラクションなど)

11. フィードバック力

12. 英語での授業マネジメント(指示など)

13. 読解力

14. リスニング力

15. その他

 興味深かったのは,備わっている力では小・中・高いずれの校種においても第1位,第2位がそれぞれ文法知識・読解力であったこと。そして,課題と思われる力は,いずれもスピーキングやインタラクションに関すること(例: 即興でやりとりできる英語力; 英語での質問力; パラフレーズできる力)が上位を占めていたことでしょうか。*1

 ちなみに発話に関する特集は去年度の『英語教育』の中でも広く取り扱われています。

 

英語で授業をすること

 ところで上位にスピーキングに関することが挙がっている背景に高等学校学習指導要領の中の「授業は英語で行うことを基本とする(第3款, 4)」という文言が関わっていることは言うまでもありません。私の勤務校でも英語で授業をするというのは英語科の統一の見解として,授業に取り組んでおります。

 ただ,気を付けないといけないことは英語で全部授業を通せることが必ずしも素晴らしい授業ではないということです。本書の中で新谷奈津子先生は

授業をすべて英語でするべきだと言っているのではありません。日本語を使った方が効率的で生徒の集中力を維持しやすい場面も授業にはたくさんあると思います。“All English”を実践した結果,生徒がついていけない,先生にも過度な負担がかかる,では本末転倒です。(p. 68: 太字は筆者によるもの) 

とおっしゃっています。自分も英語を使うことに躍起になってしまい,何を言っているのかわからないという生徒からの声は耳にしますし,反省し,どうすればよいのだろうと悩むことはしばしばあります。生徒に英語を学んでもらうためには,生徒が理解しやすいあるいは頑張れば理解でき,それを使いたくなるようなインプット・フィードバックを与えなければなりません。それが難しいからこそ,ランキングの上位に発話に関する項目が占めているのかなということを痛感します。

どうすれば

 アンケートを踏まえた上で,どう鍛えればよいか書かれております。どれも大事なので収拾がつかなくなりますので割愛しますが,それを土壌として場数を踏むことが肝要だと感じました。金谷憲先生は自己研鑽のためには,「研修」より「稽古」つまり模擬授業「校内お稽古会」をするべきであるということを説かれています。そして頻繁に行う事が大事である(コラムでは週1,1時間でと記述されています)と述べておられます。具体的には...

週1回,当番が先生役になって,質問に答えたり,ペアワークをやったりする。終わったら, 授業にコメントする。先生役は同僚のコメントを受けて,もう1回その場で,同じ模擬授業を行う。以上で1時間。それ以上は時間をかけない。 (p. 51)

  先生同士で見合うという経験,意外とないと思います。お互いの授業を見ることでその学校のレベルに応じた「理解可能なインプット」を探すヒントになるのかも,そんなことを思いました。語彙の使い方や,発話のスピード,内容...難しい。*2

 以上,内容を理解してもらうだけでなく,英語のスキルや人としての大切なコミュニケーション能力を培うということを鑑みて英語を使うわけですが,そのことでどの校種でも同じことで苦しい思いをしているんだなということを改めて感じました。

*1:あくまで執筆者の先生が現場の先生の様子からこのように思うという意見がほとんどなのですが,中にはその先生個人が思う能力について挙げられている場合もあり解釈には注意が必要かもしれません。

*2:

理解可能なインプットに関しては,理論と実践で日本語の本で言うと例えば村野井先生の本とか。

第二言語習得研究から見た効果的な英語学習法・指導法

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