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不断の努力と普段の努力

英語,研究,教育実践,読書記録,ヴィオラのこと。ヴィオラのような人を目指しています。

(論文レビュー) コロケーション処理における繰り返しの効果 (Szudarski & Conklin, 2014)

研究

Szudarski, P., & Conklin, K. (2014). Short- and Long-term effects of rote rehearsal on ESL learners' processing of L2 collocations. TESOL Quarterly, 48, 833-842. doi:10.1002/tesq.201

のまとめです。

概要

 この論文の研究課題は2点でした。

コロケーション学習における

①rote researsal(機械的に心の中で復唱すること: 以下RR)の効果の検証,具体的にはRR群とRR+群(例えば,目標語に下線を引いて目立たせる方法[input enhancement])群(処置群),対照群の比較

②頻度の差が及ぼす学習効果の違い

です。

 

 参加者はポーランド語を母語とする英語学習者26人で語彙サイズとしては平均して5,000語レベルの語彙が理解できる学習者たちでした。

 コロケーションは形容詞ー名詞コロケーションと動詞ー名詞コロケーションが用いられ,その中でも頻度の高いものと頻度が低いものが採用されました*1

 測定方法は,コロケーション判断課題(それが正しいコロケーションの組み合わせなのかを判断する課題)が使われ,その反応時間と誤答率が測定されました。測定は学習直後のテストと6週間後の遅延テスト,2回がなされ,短期記憶だけでなく長期記憶も測定されたかっこうです。

 結果は指導の効果としては,処置群は短期的には効果があるものの,長期的にはその効果はなくなることが分かりました。ただし,RRとRR+とではほとんど差がないという結果になりました。また,頻度が高いコロケーションほど,反応時間が短く正答率が高くなるという結果になりました。

 また全体的な傾向として,動詞ー名詞コロケーションは指導の効果が薄いということが主張されています。理由としては学習したコロケーションのcongruency(そのコロケーションが直訳で訳せるものか否か)にあるということが主張されています。

 詳しくは以前書いたこちらの記事をご参照ください(Peters, 2015)。


(論文レビュー) コロケーション学習に影響を与える要因について (Peters, 2015) - 不断の努力と普段の努力

感想

 結果としては,予想通りでかなりわかりやすい結果でした。個人的には熟達度によって,学習されたコロケーションに際して理解度に差が見られるのかなというところに興味があります。また,この研究では反応時間を用いた研究つまり理解できたかできなかったのかに焦点が置かれているので,母語から外国語に翻訳できたのかというような語彙知識の発達の面に興味があります。いかんせん一回の学習でそこまでの語彙発達は見られないと思いますので,本論文でも

[I]t appears that L2 collocational knowledge should be consolidated and recycled soon after it has been acquired if it is to be retained for longer period of time. (p. 840)

 と言われています。この部分には大変興味が持てます。

*1:それにプラスして具体的な各コロケーションの記述はないのですが,Mutual Informationが統計指標として用いられました。