不断の努力と普段の努力

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(論文レビュー) 効果的学習方法の二大巨頭Retrieval practice・Spaced practiceについて

Putnam, A. L., Nestojko, J. F., & Roediger, H. L. (in press). Improving student learning: Two strategies to make it stick. In J. C. Horvath, J. Lodge, & J. A. C. Hattie (eds.), From the laboratory to the classroom: Translating the science of learning for teachers. Oxford, U.K.: Routledge.というブックチャプターからの紹介です。

 

以下のRoediger先生のページからダウンロードができます。

psych.wustl.edu

 現在(2016年現在)で最も効果的であると言われているのが,

Retrieval practiceSpaced practiceというものです。

一言で言えば,

・Retrieval practiceというのは思い出すことを伴った学習(例えばテストをすること)

・Spaced practiceというのは間隔を空けて行われる学習のこと(例えば前の学習から2,3日置いて学習すること)です。

またその2つをまとめたものをDistributed practiceといいます。

 このブックチャプターはその2つの研究動向をまとめたレビュー論文になります。全部をまとめると膨大な分量になりますので,個人的に興味を持った部分をまとめてみます(訳しているわけではないので,そのあたりはご容赦ください)。

Retrieval practiceについて

・勉強をする際に,勉強したことを読み直すことがよく行われるが,retrieval practiceを行った方が効果的。また何度も読み直すことは,過剰な自信を生み,勉強した気になってしまう(Roediger & Karpicke, 2006)。

・学習していることを考えて思い出すだけでも効果がある(Putnam & Roediger, 2013)。

・フィードバックにより思い出させるのも良い方法で,間違った問題の記憶を強化するだけでなく,自信がなくて正解したものの記憶も高める効果がある。(Butler et al., 2007, 2008).

・フィードバックのありようは,答えを示すだけのシンプルな方が良いかもとメタ分析では言われているが(Bangert-Drowns et al., 1991),詳しく説明した方がシンプルにするよりも良いのではという研究もあり,議論の余地がある(Butler et al., 2013)。

・テストをすることによるretrieval practiceはメタ認知にも働きかける。つまり,学習者は何がわかっていて,何がわかっていないかに気づくことができる。

・授業中にクイズを出してretrievalさせると,記憶を強化するだけでなく,授業に集中しやすくなる。

 

Spaced practiceについて

・集中学習(massed: 短い間隔で行う学習)も分散学習(spaced: 長い間隔で行う学習)の方が良い(e.g., Bahrick et al., 1993)。

-> middle-schoolでの実践もあり(Sobel et al., 2011)。

・記憶をキープしたい日数によって,最適な学習間隔があるかもしれない(Cepeda et al., 2009)。(例えば,1週間キープするなら,1日置いて学習する)

-> 反復するにしても,日を置いた方が良いですよということ。

 

あとは最後のまとめの部分,現場で活かすならという方法が紹介されています。ざっくりまとめると... (pp. 115-116)

Retrieval Practice

  • フラッシュカードを用いてretrievalを促す。
  • 読んで,暗唱させて,何ができて何ができなかったをレビューさせる。
  • 授業の最初や最後にクイズを入れて,記憶を高める。評価にも入れる。
  • Retrievalの方法として,発問をしてから少し間を置いて指名する。
  • オンラインでの学習にクイズを混ぜる。

Distributed (Spaced) Practice

  • 前回の復習を授業の最初に入れる。可能であれば,少し間を空ける。
  • 宿題に過去に行ったものを混ぜる。古いものと新しいものが入っていることが望ましい。
  • 間隔の開け方を工夫する
    • – One-day spacing is good for 1 week of retention.
    • – One-week spacing is good for 2 months of retention.
    • – One-month spacing is good for 1 year of retention. (e.g., Cepeda et al., 2009)
  • クイズ(retrieval practice)を間隔をあけて実施する -> distributed practice. テストも過去に行ったことを上塗りで行っていく。

このあたりは目新しいことはないですが,頭には留めておきたいことですかね。

 

このあたりの研究ですが,まとめの本としては

使える脳の鍛え方 成功する学習の科学

使える脳の鍛え方 成功する学習の科学

 

 がおすすめです。

 ちなみに,原著はこちら。

Make It Stick: The Science of Successful Learning

Make It Stick: The Science of Successful Learning

  • 作者: Peter C. Brown,Henry L. Roediger III,Mark A. McDaniel
  • 出版社/メーカー: Belknap Press
  • 発売日: 2014/04/14
  • メディア: ハードカバー
  • この商品を含むブログを見る
 

 余談ですが,この手の記憶に関する研究に興味を持ったきっかけがこの本でした。翻訳が出て手軽に読めるようになったのは悔しいですが,この手の研究がもっと一般的になれば良いなとも思います。