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金谷憲(編)(2017)『高校生は中学英語を使いこなせるか?』アルク
総計5,000人ほどを対象とした調査で,速読,リスニング,ディクテーション,和文英訳,Picture descriptionを用いて,中学の英文法の知識が「定着」しているかをまとめています。
結果は察しがつくかと思いますが,定着しているとはとても言えない状況です(それも熟達度や学年にあまり依らず)。殊にまとまりのある文章まで作るところまでは全然至っていない,と。
一例ですが,面白かったものとして和文英訳の誤答分析を挙げてみます。スペルミスや冠詞のエラーは多分に漏れずですが,
英作で誤りの多い構文の例として
1. 後置修飾を含む名詞句が主語の文
2. 必要以上に複雑な構造を使用する
3. 「〜がある」におけるThere be構文の乱用
というのが紹介されていました。(pp. 99-103)
経験的にこういうことは分かってくるのかと思いますが,私のような経験の浅い先生だとなかなか気づかない部分もあり,生徒がどういうところでつまずく可能性があるのかを知る上で示唆に富んだ面白い本でした。
プラスαあれば面白いな,自分でやってみたいなと思ったのは,測定された技能がリーディング・リスニング・ライティングでスピーキングがなされていないので,それをやってみるといあことです。Picture descriptionはよくスピーキングでも使われている題材ですし,外部試験でも使われています。ただ,分析が煩雑になるでしょうが…
実際に調査で使われた文も載っていますので,生徒さんに力試しとしてトライさせてみても良いかもしれません。